失敗学から読み取る安全
法務顧問の勉強会を月に一度受けているの中で失敗学という言葉が度々出ていました。失敗から学びビジネスの成功者になる経営者の話です。また製品開発の失敗作からもヒット商品が生まれることがある、付箋紙の成功の話が有名ですよね。失敗学とはどういう学問なのかが気になり長い夏休み中に本を手に取って読んでいるところです。
本もまだ半ばですが、失敗学をざっくりいうと、失敗は避けたり嫌うモノではなく利用して次に活かすということです。よく言われていることですよね。人生は生まれた直後から失敗の連続で経験を積んで成長しています。例えば私が子供の頃にあったジャングルジム。なぜか頂上を目指したくなるものです。登っている過程で次の棒に手がとどかなったり足を踏み外したりしながら一段一段登っていきます。時には落下したり頭ぶつけたりすることがあり、痛みとびっくりとショックで泣いて帰ったものです。こうして高いところは危険であるということを学んでいきます。それが今ではジャングルジムって無いんですね。落ちたら危ない、怪我をした、事故があった、誰が責任を取るのかという問題になり、危険な遊具として2000年ぐらいから徐々に撤去されているとのことです。ジャングルジムが危険かの賛否は別として、こうした危険なものを徹底的に避けることで、小さな危険の経験が出来なくなってしまい、危ないという事が分からず、いざという時に大きな事故につながってしまうのです。
このように成長には必要な失敗もあるのですが、失敗が許されない場合があります。それが事故や大きな怪我で取り返しがつかないものに関しては失敗をして経験を積むということができません。それではどのようにして危険の経験を積むかというと、「仮想失敗体験」で失敗を学習します。どういうことかと言うと、危険予知シミュレーションや過去に起きた他者の失敗体験を映像や写真、文章でみることによって自分事化して知識化する方法があります。例えば自動車教習所で危険予測として見通しの悪い交差点や渋滞中の横断歩道、何が起きるかを予測して危険を知識化します。また、交通事故の事例やドキュメンタリー映像を見て車の危険さを知識化します。
当社工場でも様々な危険が隠れています。失敗して経験できる物ではありません。危険予知や失敗体験などを盛り込み「仮想失敗体験」で自分事化できるような安全教育を定期的に行なっていくことが必要です。