情報の必要性

最近輸出入の規制が多く、材料調達に苦労をしています。 当社が使っている原材料は未だ購入出来ていますが、物によっては数量制限が掛けられている原材料もあります。 特に最近では、プラスチックの難燃剤に使用するアンチモン地金などが、中国による対米輸出規制の影響により10月より日本へも入って来なくなってしまっています。 アンチモンは、プラスチックの難燃助剤だけでなく、バッテリーの電極や半導体、ガラスにも使用されており、また赤外線センサーや火薬の原料にも使われているレアメタルに該当しています。 レアメタル!と聞くと、埋蔵量が少ない、抽出が難しいなどの希少金属を思い浮かべますが、アンチモン地金は、ほんの数年前までは 6,000〜7,000ドル/MT で取引されていた物が、今では30,000ドル以上と5倍に跳ね上がっています。
産出国トップの中国がロシアとインド以外の国への輸出を止めてしまっているので、供給が極端に足らず各国で奪い合いとなっているのが原因にあります。 あらためて感じるのは、輸出規制はその国が世界に示す伝家の宝刀であり、その脅威は、我々製造業に与える影響は計り知れないほどの破壊力を持っていると気付かされます。 当然相手国の政府部門も、対応策を取る為に動いておりますが、政治問題は解決にどの程度の期間が掛かるのか予測ができないことと、その間は自分たちでやり繰りをしなければならないということです。 その為のBCP対策でありますが、BCP対策をすればするほど調達コストが上がってしまうというジレンマも感じています。 その全てが自社の企業努力であり、やはり情報戦に尽きるのかと思い知らされます。
貿易問題は今回の話とちょっとズレるのでこの辺りにして、情報収集が如何に大切かということです。
当社にもたくさんの仕入先様が来社してくれており、私も仕入れ担当として情報交換を行なっていますが、やはり勉強している営業マンもいれば、そうでもない営業マンもいます。 私もどちらかと言うと広く浅い知識は持っていますが、世界情勢などネットニュースで知る限りであり、やはり専門分野での情報を得れるのが貴重としています。 当社が使用している材料の事もそうですが、その材料を作る為のもっと川上の原料がどのような流通となっているのか? 環境規制や輸出規制に入っていないか? また今の市況と今後の予測がどうなるのか? など、しっかり勉強している営業マンと話が出来た方が有益です。 ちょうど先日も来社した材料メーカーの営業マンがかなり勉強熱心で、自分が扱っている材料に関係する新聞の切り抜きや専門誌の記事などを綺麗にファイリングしており、私の質問に丁寧にエビデンスを見せながら説明してくれました。 私も「未だ若いのにすごいね〜」と褒めていると、「情報収集が好きで、今では日課であり趣味ですね」と照れ笑いしていました。
物を売る営業マンのスキルとして、対話力や交渉力などと言う人もいますが、私は情報力に長けているかだと思います。
今ではネットで何でも情報収集が容易に出来ますが、フェイクニュースなどもあり、どの情報が正しいか間違っているかの見極めが必要となります。 その正誤とは、実際に現場で見聞きしている人が信頼できる情報を持っています。 案外、アナログで得た情報の方が正しい情報であったりするように、人から聞いた情報より、自分の目で見た情報、肌で感じた情報の方が信用できる、それに近い感覚かと思います。
仕事でのスキルアップとは、確かに知識を学んだり、技術を磨く事も大切ですが、人と話す仕事や戦略や戦術を組み立てる仕事であれば、世界情勢や経済情勢を読み解く為の情報収集とアウトプットも、スキルアップの一つだと思います。

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