面白いから、やる
本田宗一郎氏の逸話です。
1986年から、ホンダのターボエンジンがF1で圧倒的な走りで優勝しました。 それが面白くなかったFIAが1989年にF1でのターボエンジンを禁止にして、自然吸気エンジンのみを決定しました。 当時のホンダのF1チーム監督が、宗一郎さんに直訴してFIAへ抗議をしようとしたら、宗一郎さんから、「ホンダだけがターボ禁止なの? 違うのか、馬鹿な奴らだ。皆同じ条件ならまたホンダが一番速く、一番良いエンジンを作るのにな。で、話ってのは?」
監督は、「いいえ、何でもありません。」と笑顔で後にしました。
先日、本田技術研究所の公演を聞きに行きましたが、「ホンダは技術で、はたはた(周りの人)を楽にする」そんなホンダ魂に共感しました。 エンジンがダメならバッテリーやモーターで周りの人を楽にしたい。 オートバイや車がダメなら、ジェット機で良い、シャベルカーや耕運機の技術を伸ばそう。 実はホンダは、プライベートジェット(ミニジェット機)ではトップシェアを持っていますし、ミニシャベルや耕運機など小型エンジンでは7割のシェア、ミニ蓄電機でも高いシェアを持っています。 戦後間もなく、宗一郎さんが自転車にエンジンを付けて、当時バタバタと呼ばれたエンジン付き自転車、そのヒットも宗一郎さんが重い荷物を自転車に載せて苦労して運ぶ姿を見て、もっと楽にしようと考えたのが始まりでした。 大人気のカブ(バイク)も、頑丈で燃費の良い業務用のバイクを作ろうとして開発されました。 そんな創業者(本田宗一郎氏)の考えをしっかりと皆が引き継いでいるからこそ、100年に1度の変革期と言われる自動車の将来を、前向きに捉えて、ホンダなら技術で乗り越えると、全社員が自信と誇りを持っているように感じました。
当社も、自動車やエンジン向けでかなりの製品を出しているだけに、このEV車への移行はかなりのマイナスになります。 しかし、EV車だからこそ、そこに新たな課題や需要が生まれる。 例えば、エンジンだと遠隔で操作は出来ませんが、電気であれば、最近白物家電のIoTで外出先からスマホで家電を操作出来るようになります。
それならセンサー分野をやろうか、ソフト分野をやろうか、蓄電分野をやろうか、と考えが巡って行きます。
「面白いから、やる」
この言葉が全てだなっと気付かされました。