現場の判断
福島県を中心に生鮮食品スーパーを170店舗運営するヨークベニマルの話がビジネス雑誌に載っていました。
東日本大震災で、105店が全壊または半壊、従業員24人、ご家族148人の命を失ったとのことでした。
震災当日、大髙会長は都内に出張していましたが、翌朝車で13時間かけて福島へ戻り、郡山市内の被災状況を目の当たりし愕然としたと話しています。 しかし、弱気な大髙会長とは対照的に、現場の従業員はまぶしく見えるぐらい寸暇を惜しみ、復旧に努めていた。店に店長自らの判断で、津波が押し寄せる中で地域の方々500人を屋上駐車場へ非難させ、店に残るわずかな食糧を皆に分けて、救助の来るまでの3日間命を守った。 ある店舗では、店長が一律100円で売ると決断し、地域の生活を守った。ある店では、本部からの避難の呼びかけを聞かず、「表にお客さんが並んでいるから営業させてくれ!」と懇願した。
経営陣から、常日頃「店はお客様のためにある」と現場に伝えていたが、むしろ震災当時のこうした従業員たちの姿に気付かされたことの方が多かったと話しておられました。
私もこの大髙会長の言葉に心を撃たれました。
目の前の人たちの命を先ずは最優先に行動しなければならない。
窮地な時ほど、直に人や災害に接している現場責任者の判断を尊重しなければならない。
皆の力を合わせて、復旧・復興、そして人命救助。 震災を経験された方たちにとっては当たり前のことでしょうが、その当たり前のことの積み重ね以外、未来の道は開かれない。 では、その当たり前とは何か? 明るい笑顔、清潔な職場、地域お客様を豊に楽しく彩っていくこと。 朝起きて、働いて、ごはんを食べて、ぐっすり寝る。この「普通」が如何に尊いものかを知っているからこそ、会社と社会の成長に奇策はないと言っておられました。