時代に合わせた教育

横浜高等学校野球部:渡辺元智 前監督の講演を聞きに行ってきました。

冒頭から、スパルタは必要ですと話し、ただそこに絆と愛情があっての事。

約半世紀の監督人生において、横浜高校野球部を甲子園出場29回、

全国優勝5回、甲子園通算51勝、松坂大輔や涌井秀章選手、筒香嘉智選手など

多数のプロ野球選手を育てた名監督です。

たった3年間で生徒が入れ代わってしまう高校球児

強豪校に育てるだけでも大変であるが、それを継続させていく事自体、相当難儀です。

渡辺監督も、生徒(選手)の指導方法に悩み、挫折し、その中で時代時代に合わせた指導方法を

見出して来たと語っておりました。

昭和48年の最初の甲子園優勝までは、とことんスパルタ教育で選手を育てたとのこと。

あまりの厳しさに逃げ出す生徒も多かったが、当時は両親も厳しかった。

渡辺監督に叱られ家に逃げ帰った選手も、家ではまたお父さんに小突かれ、学校に連れ戻される。

当時は今と違って、綺麗な合宿所もなかった事から、伊豆大島で合宿をさせていた。

海に囲まれた島であれば、逃げ出す事が出来ない!

脇が擦れて血まみれになりながらも、島一周44kmを走らせたり、

岩石でゴツゴツした三原山の頂上まで走らせ、

途中で捻挫した選手を、他の選手がおぶって下山して来る。

本当に厳しい境地において、選手同士の本当の友情と信頼関係が生まれて来る。

今の社会は、コミュニケーションを取れと誰もが言うが、号令だけで、実際には何もしていない。

コミュニケーションは、信頼関係を築く方法論でしかなく、皆が一緒に厳しい練習を乗り越えた方が

何倍も信頼関係が築ける。

しかし、今はそんなスパルタだと選手は付いてこないし、世論も黙っていない!

そこで、アメリカ野球(Enjoy Baseball) をカリフォルニアへ勉強しに行った。

Enjoy Baseballとは、選手の自主性と気づきを育成する。

例えば、何度もミスをする選手においても決して叱らない。 

レフトを守っていたある選手が、既に野手が2塁にいるのに何度も2塁に送球していた。

本来であれば、3塁に送球するのだが、監督は一切それを注意せず、ヒントだけを伝える!

何度もミスを繰り返す内に、そのミスに気づいた選手が3塁に送球する。 

その時に一言「Nice Play!」と褒める監督!

早速日本でもEnjoy Baseballを実践し、その年に見事甲子園に出場させたが、

やはり何かが足りず、優勝までは届かない。

日本には日本のスパルタ文化が昔から残っており、執念と根性をベースに自主性を育て、

程よい休養と身体作りをさせる。

それが松坂世代を育て、前人未到の公式戦44連勝を記録した。

その後も、涌井選手や石川選手、筒香選手には、口頭では浸透しなかった若い世代には、

毎晩何通もの携帯メールを活用し意思疎通を図り、的確な指示を伝え、育て上げたという。

時代時代に新しい生徒たちが入部して来る。 その若い世代とどのように信頼関係を築いていくか?

強い選手になる為には、当然技術や知性が必要である。

しかし、プロでも活躍出来る立派な選手になる為には、プラス人間性を養わなければ成れない。

礼儀や人間性を教えるには、先ずは自分が尊敬される指導者にならなければならない。

執念 < 根性 < 愛情 (愛情のあるスパルタ!)

他にもたくさんのエピソードがありましたし、一部私なりの表現となっていますが、

渡辺前監督の熱い講演を聞けて、また一つ私の経営への糧にさせていただきます。

ありがとう御座いました。

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