「5S」とは
先週、定期的にご指導をいただいている労務士先生との勉強会の中で、5Sの話となった。
こちらの先生、社会労務士になる前は、所属していた企業(工場)で、
社長から5Sのプロジェクトリーダーに任命されたとのこと。
20年前に30万円もした5Sの専門書を社長に買ってもらい、知識ゼロから勉強したという。
プロジェクトリーダーを任されたなら、
先ずは自分が会社で一番の知識者にならなければと思い、半年かけて専門書を読み漁り、
当時、まだコンサルタントが少ない中、大阪から数十万円かけて先生を呼んだり、
5Sの講演があれば、全国どこでも話を聞きに行ったという。
自分の知識がついてからは、役員を現場に呼んで、トラック 3杯分の備品や設備を捨てさせ、
目標を立て、毎週全社員で掃除し、毎月社長を連れ回して現場チェックを行ったとの事。
ただ、物を捨てるとなると、社長や役員から反対される。
それなら、1年間動いていない設備は廃棄するというルールを決めて、社長承認を得て、
それに沿って上司(役員連中)を指導していった。
2年ほど5Sを続けていたら、ある若い社員から、
「これからも、5S活動を続けて下さいね!」
「もう昔のような汚い現場では仕事をしたくないですよ!」
と、うれしい言葉を貰えたという。
また、50台停めれる駐車場の白線が消えかかっているのを見て、
事務員の女の子連中が、日曜出勤を申請してきた。
日曜に何をしているか見に行くと、彼女らが駐車場でマスキングテープと白ペンキで白線を引いていた。
刷毛で塗っていた為、白線は波打って、とても綺麗な代物ではなかったが、
自発的に、それも休日出勤までして、やってくれた女の子たちには、お礼の言葉しか出なかったという。
5Sは、職場や製品を綺麗にし、無理無駄を突き止め、動線や効率が改善できる。
それによって会社が儲かるようになるのだが、本当の狙いはちょっと違う。
皆で5S活動をしていくと、習慣化されていき、皆が自発的に綺麗に掃除をするようになっていく。
その自発性が、他の業務での団結心や愛社精神になっていく。
その為には、5Sプロジェクトの事務局が、しっかり仕組みを作り、粘り強く指導をして行かなければ成功しない。
こちらの先生、その後は労務士の資格に合格し、3年後には社会労務士として独立し、
その会社から離れてしまった。
その会社はというと、温厚だった社長が現場に行って怒鳴るようになった。
理由は、この先生が事務局をやっていた時は、段取り良くシステムで5S活動を回していたが、
後任者は、社長が納得するだけの指導が出来なかった。
社長が、先人切って叱るようになると、システムや社員の自発性が失われてくる。
結果は、誰に事務局をやってもらかで大きく変わってくる。
「しっかり、ビジョンとシステム、それと行動力を持ってやらないと、失敗してしまうよ!」
そんな言葉を残して、帰って行かれました。。