
ミニ野菜
先週夜のニュース番組を見ていたら、トキタ種苗(株)のミニ野菜の開発秘話が放送されていましたが、内容が面白かったので、ついつい見入ってしまいました。
トキタ種苗は、大正6年(1917年)創業の100年企業ですが、有名なのは1984年に日本で初めてミニトマトを米国から日本に持って来て、日本の気候でも育つ「サンチェリー」を発表したことでしょう。 その後1997年に「サンチェリーエキストラ」を発表し、日本のミニトマトの80%以上のシェアを持っていたのは驚きです。
ただ、その当時の社長であった時田勉氏は、今後の日本は少子化や核家族化によって、ミニ野菜が市場で必要とされると信じ、ミニ白菜やミニほうれん草など、次々とミニ野菜の種を開発していきました。 しかし、当時の農家は、小ぶりの野菜は出来損ないとして、大きな野菜を育てるのが主流であり、トキタ種苗の営業マンが全国で売り歩いても全く生産者(農家)は見向きもしてくれません。
当時の市場は、野菜はキロ単価で取引されていた為、小さな野菜を作っても農家の収入が増えません。それでも、当時の時田社長は、時代は必ずミニ野菜を受け入れると信じて、必死にPRを続けました。 そこを目に付けたのが、家庭へ加工野菜を販売していたオイシックスです。 オイシックスやパルシステムは、内の妻も利用しており、子供が小さい4人家族には、1食辺りの調理が使い切りの量で無駄が無くとても便利だと感じています。 オイシックスでカット野菜など調理する上で、野菜を切ってしまうと鮮度が落ちてしまう為、小ぶりのミニ野菜だと鮮度も保存期間も保てることで、そのニーズが合致した訳です。 それでもなかなか農家はキロ売りの概念から抜け出せず、オイシックスのバイヤーが全国の農家さんを周り、キロ買いで無く、ひと株単位で買うことと、ミニ野菜を植えることで畑単位で株数が増えることを説得し、1つ、2つと生産してくれる農家さんを開拓して行きました。
この番組を見ていて、少子化や核家族化というキーワードは、2000年代から誰もが知っていて、将来社会問題となるだろうと予想が付きました。 それを見越して動けることが「成功するか、しないか」の分かれ道となります。 ただその投資が成功すれば、あの経営者は先見の明があったと評価されますが、失敗すれば愚か者と呼ばれてしまいます。 どこの会社の経営者も、先見の明は持っていますし、先を見越して行動しています。 ただその先の成功を掴めるのは、やはり最後まで諦めずに努力した人だけが、市場で認められる幸運を得られるでしょう。 「失敗はない。それはできるまでやり続けるから」