三現主義の大切さ

先日、設備移動の案件がありました。事前に必要な道具をリストアップし、万全の準備をして現場へ向かいました。しかし、実際に現場で作業を進める中で、「あれが必要だった」「これを持ってくればよかった」と思うことがありました。逆に、必要ないと思われる道具を持って行ってしまい、結果として荷物が多くなってしまうこともありました。

このような経験をすると、改めて「三現主義」の重要性を痛感します。

三現主義とは?

三現主義とは、「現場」「現物」「現実」の三つの“現”を重視する考え方です。

  1. 現場(Genba):実際の作業が行われている場所に行く。
  2. 現物(Genbutsu):対象となる物を直接見る。
  3. 現実(Genjitsu):現場の実態を把握し、事実に基づいて判断する。

この考え方は、問題解決や業務の改善において非常に重要です。特に製造業や設備管理の現場では、机上の計画だけでは実際の作業の課題が見えにくく、現場に足を運んで実物を確認することが欠かせません。

現場を知らなければ正しい判断はできない

設備移動の際だけでなく、日常業務においても三現主義の重要性を感じることがあります。

例えば、現場から「この工具が欲しい」「この設備を新しくしたい」といった要望が上がってきた際、稟議書を通して承認する必要があります。しかし、実際に現場を知らないと「本当に必要なのか?」「代替手段はないのか?」といった判断に迷うことがあります。

もし事前に現場を訪れ、現物を確認していれば、必要性や優先度が明確になり、より適切な判断ができるでしょう。現実を把握することは、無駄なコストを抑えつつ、現場の改善につなげるために不可欠です。

ITトラブルにも三現主義が必要

三現主義が必要なのは、製造業や設備管理の現場だけではありません。例えば、IT関連のパソコントラブルも、実際に現場で状況を見てみないと解決できないことが多いです。

最近では、リモートツールや監視システムの発展により、遠隔地からでも問題を把握できるようになりました。しかし、それでも細かい部分までは分からず、実際にパソコンやネットワーク機器を触らないと原因を特定できないケースが多々あります。

やはり、ITの分野でも「現場」「現物」「現実」を重視する姿勢が求められます。

ITの発展とコミュニケーションの課題

近年、ITツールの発展により、データやシステムを活用した業務が主流になっています。メールやチャット、WEB会議などを通じて情報共有ができるようになり、現場にいなくても業務を進めることが可能になりました。

しかし、こうしたツールに頼りすぎると、実際の状況を正しく把握できないことがあります。データや報告書だけでは、現場の空気感や細かいニュアンスが伝わらず、誤った判断をしてしまうリスクがあります。

  • メール:記録が残るが、細かいニュアンスが伝わりにくい。
  • 電話:リアルタイムで会話できるが、視覚的な情報が得られない。
  • WEB会議:顔を見ながら話せるが、現場の状況までは分からない。
  • 対面の会議:直接現場を確認しながら議論でき、最も深い理解につながる。

ITツールは便利ですが、やはり現場での直接の確認が最も確実な情報源となります。三現主義を意識し、ツールに頼るだけでなく、実際に現場を訪れることが大切です。

三現主義を実践しよう

今回の設備移動の経験やITトラブル対応を通じて、改めて三現主義の重要性を実感しました。今後も、現場を訪れ、実際の物を見て、現実を把握しながら業務を進めていきたいと思います。

皆さんも、日々の仕事の中で三現主義を意識し、現場感を持って業務改善に取り組んでいきましょう。

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